EXHIBITIONS

ジェニファー・ロックリン「On such a winter’s day」

2020.10.17 - 11.21

ジェニファー・ロックリン P22 The Hollywood Lion and Altadena Bear 2018

ジェニファー・ロックリン Elizabeth Taylor, Marilyn Monroe and Audrey Hepburn 2020

ジェニファー・ロックリン Viva Las Vegas 2020

 ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト、ジェニファー・ロックリンの日本初個展がMAKI Gallery(表参道)で開催される。

 ロックリンは1968年生まれ。アメリカのボルチモアで育ち、99年にシカゴ美術館附属美術大学で絵画の修士を取得。美術教師の仕事に就き、地元の学校で陶芸授業のプログラム開発に携わったことをきっかけとして、キャンバスから粘土に描くことを実験的に始める。三次元にかたちづくられた器が自身の描く物語にどのように影響するのか興味をもつようになり、現在では様々な技法を駆使しながら、器の表面に表情豊かな「絵画」を生み出している。

 ロックリンの作品を特徴のひとつは、不規則なかたち。細い棒状の粘土をコイル状に回し重ねて器にしていく過程で、作家のインスピレーションが手に伝わり、絶妙なバランスを取りながらかたちを自由に変形させる。仕上がった器のかたちをもとにイメージと構図を膨らませ、ハリウッドの俳優やセレブ、装飾文様などのモチーフを描いていく。

 器に描かれる物語は、器の一周して見ることで一連の流れが表現される場合、あるいは四方の面にそれぞれ挿絵のように配置される場合もある。器の膨らみやへこみ、起伏、質感は、均一に木枠に貼られたキャンバス以上に多くを語り、絵画と陶器の両方の要素を秘めたロックリンの「絵画」をより複雑に魅力的に支え、ほかにはない魅力を醸し出す。

 みずみずしい感性で「物語」を描き、近年はとく、カリフォルニアの自然、身近に起きた事柄などの個人的なナラティブ(物語)や美術史の引用に取り組むロックリン。本展ではその最新作を、あらゆる方向から一つひとつ鑑賞できるように展示する。