EXHIBITIONS

式場隆三郎 腦室反射鏡

2020.10.11 - 12.06

自身の陶磁器コレクションを眺める式場隆三郎

『アダム』第2年第1号、1920年(表紙画:岸田劉生)

フィンセント・ファン・ゴッホ ラングロア橋(アルルの跳ね橋)複製画 式場隆三郎旧蔵

二笑亭の式場(1939年頃)

河井寛次郎 三色打薬扁壺 1962頃 式場隆三郎旧蔵

式場邸応接間(柳宗悦・濱田庄司ほか設計、1939年竣工)

 式場隆三郎(しきば・りゅうざぶろう、1898〜1965)は現在の新潟県五泉市に生まれ、新潟医学専門学校(現・新潟大学医学部)に学んだ精神科医。医学生時代に白樺派に接近し、武者小路実篤、柳宗悦、岸田劉生らの知遇を得て、宗悦による木喰仏の全国調査に協力した人物だ。民藝運動にも同伴し、やがて医業と芸術の交差するフィンセント・ファン・ゴッホの精神病理学的な研究に打ち込んだ。

 式場は医業の傍らで、ゴッホをはじめとした芸術家の研究と普及に努め、多くの日本人が初めてゴッホ作品にふれた「ゴッホ複製画展」や、「日本のゴッホ」とも呼ばれた山下清の展覧会などの事業を手がけて、幅広い大衆の関心と趣味を先導した。

 式場が生涯残した著書はおよそ200冊。民藝運動、ゴッホ論、精神病理学入門にまでわたって健筆をふるい、また、アウトサイダー・アートの先駆的評価など、多彩な領域にわたる旺盛な啓蒙活動を通じて、近現代日本の文化史に大きな影響を与えた。

 幅広く時代に導かれ、幅広く時代を導いた式場。本展では近現代日本の文化史に重要な文脈をもたらした式場の多彩な足跡を、関連作品約200点や資料によってたどる。