EXHIBITIONS

国谷隆志「Aura」

2020.10.03 - 10.31

国谷隆志 Spaceless Space: Red Gas no.1 2020

 京都を拠点に活動するアーティスト・国谷隆志が関東では15年ぶりとなる個展「Aura」を開催する。

 国谷は1974年京都府生まれ。97年成安造形大学立体造形クラスを卒業し、現在も京都市を拠点に制作を行う。これまで手がけた作品は、平面や立体からインスタレーションなど様々。京都、大阪、兵庫を中心に展示を重ね、近年ではニューヨークのUlterior Galleryでも継続的に作品を発表している。

 Yutaka Kikutake Galleryでの初個展となる本展では、国谷が長年にわたって作品に用いてきた自作のネオンを素材とする新作と、鏡面を用いた「Mirror Site」シリーズの新作で構成される。

 本展の出展作品にも見られるネオンや鏡面のほか、砂時計、石、風船、鳥の羽根、蚊取り線香など、身近なものからなる国谷の作品。「私は、人間の空間への関わりにおいて、自分を取り巻く世界、物事についてのあり方を問うこと、さらに人はそれらとどのように向き合うのか、といったことに関心がある」と作家自身が言うように、そうした素材を国谷は時に平面的、時に立体的に取り込んで置き換え、空間のなかで作品と鑑賞者が対峙した際に、素材の物質性を越えて鑑賞者の身体感覚へと働きかけていくように作品化し、提示する。

 いま、世界は情報伝達技術の圧倒的な恩恵を享受するいっぽう、パンデミック、そしてそれより以前からの政治的状況の目まぐるしい動きによって大きな変化の真っ只中にある。

 本展の展覧会タイトルでもある「Aura」や、ネオン管に刻まれた「before and after」を言う文字(それが横たえられることで物質的な塊として抽象化し観賞者に差し出される作品)は、過去とこれからに対する向き合い方を考えるきっかけとなるだろう。