EXHIBITIONS

保井智貴「あるひととなにかのなにか」

2020.09.26 - 10.17

保井智貴「あるひととなにかのなにか」より

保井智貴「あるひととなにかのなにか」より

 日本の伝統技術を用いて彫刻作品を制作する作家・保井智貴の個展がMA2 Galleryで開催される。

 保井は1974年ベルギー生まれ。2001年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。乾漆や螺鈿(らでん)など日本の伝統技術を用いた彫刻作品を発表。忙しない現代社会のなかで、人間がつくり出す穏やかな瞬間に目を向け、その佇まいや空気感を内包するような人物彫刻を通して、自然の本質を表現することを試みている。

 本展では、積水化学工業株式会社の協力を得て制作された新作を展示。保井は本展に際して次の言葉を寄せている。

「ある人と会う。会う度にどこか空気感が変わっていく。空に浮かぶ静かな雲のようにゆっくりと。姿や性質は大きく変わらない。ある人はある人のままなのに。私はある人を通して、別の何かを感じているのだろう。その場の雰囲気や時間の移り変わりが、ある人と作用し合っている。明快に何かがというものではない。あらゆる物事の遠い記憶が、今という瞬間を辿り混じり合い、未来へ向かっていく。断片的にその時間と光の層が、ある人と場を通して、私の中に入り込んでくる。私は人と空間を繋ぐ空気を選び並べる。(保井智貴)」。