EXHIBITIONS

高木耕一郎「Infinite Light」

2020.09.17 - 10.10

高木耕一郎 My Eyes Turned Skywards 2020

高木耕一郎 My Eyes Turned Skywards 2020

 刺繍、ペインティング、ステンシルなど多様な手法を使い、擬人化した動物をモチーフとする作品で注目される画家・高木耕一郎。作家にとってMAKI Galleryでは初となる個展が東京・表参道のギャラリースペースにて開催される。

 高木は1974年東京生まれ。大学卒業後にアメリカに渡り、サンフランシスコのアート・アカデミーにてシルクスクリーンを学ぶ。その後、ニューヨークにて画家としてのキャリアをスタートさせ、2005年に帰国してからは東京を拠点に活動。パンクミュージックやストリート・アートに影響を受けており、ペインティング、刺繍、コラージュ、ステンシルなど様々な素材を用いて表現の幅を広げている。

 高木が作品のモチーフとするのは、トラやクマ、オオカミといった大型の動物、時には神の使いや神の代わりとして擬人化され崇められる動物たち。いっぽうで、リス、サル、ネコといった親近感のある小動物なども登場させ、親近感と違和感、匿名性と神秘性など対峙する要素が混在する世界にユートピアを見出す。

 その作品のなかには、聖職者の装いをした動物やストリートギャングさながらに威嚇し牙をむくこともあり、凶暴なのか可愛いのか、神聖なのか低俗なのか、両極端な性質を帯びている。高木の作品がもたらすそこはかとない違和感は、これまであたり前と思っていた社会のシステム、またそれを担う人々への懐疑心を私たちに思い起こさせる。

 本展では、高木のこれまでの作品から最新作までを紹介。最新シリーズ「My Eyes Turned Skywards」では、本来飛べないはずのガチョウが何かに覚醒したように、いまや空に向かって飛び立とうとしている姿を描いており、コロナ後の私たちが向かうこれからについて、両極端な性質のどちらにも偏らない世界に理想郷を見る作家なりの示唆を含めている。