EXHIBITIONS

宮廷画家ルドゥーテとバラの物語

2020.09.18 - 11.08

ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ ロサ・ケンティフォリア 『バラ図譜』より 1817 点刻銅版画(多色刷り・手彩色補助) コノサーズ・コレクション東京蔵 ※画像の複写・転載禁止

ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ リース(扉絵) 『バラ図譜』より 1817 点刻銅版画(多色刷り・手彩色補助) コノサーズ・コレクション東京蔵 ※画像の複写・転載禁止

ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ バラのブーケ 1825 肉筆画コノサーズ・コレクション東京蔵 ※画像の複写・転載禁止

 ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(1759〜1840)は、「花のラファエロ」「バラのレンブラント」とも称されている植物画家で、植物学的にも芸術的な視点でもバラを語るには欠かせない人物。18世紀、ルイ16世王妃マリー・アントワネットから「博物蒐集室付画家」に任命され植物画を描いた。

 1759年にベルギーの代々画家である家に生まれたルドゥーテ。幼い頃から父親のもとで絵画を習い、幼い頃から森や修道院の庭に咲く草花に興味を持っていたと伝えられている。職業画家として独立するためオランダで修業を積み、82年にパリへ移住。仕事に励みながらも、王立植物園に出向いて草花をスケッチするなど、植物への愛好を忘れることはなかった。

 そんなルドゥーテが植物画家としての歩みを始めるきっかけとなったのが、植物学者シャルル=ルイ・レルティエ・ドゥ・ブリュテルとの出会い。レルティエの支援を受けながら、30代はじめ頃にルイ16世王妃マリー・アントワネットから博物蒐集室付画家の称号を得た。そしてフランス革命後には、植物愛好家として知られていたナポレオン皇妃ジョゼフィーヌの知遇も得て、繊細で優美な花々の作品を数多く残した。

 ルドゥーテの代表作のひとつ『バラ図譜(Les Roses)』は、ジョゼフィーヌが収集した多種多様なバラの姿を、ルドゥーテが描いた原画をもとに制作された植物図鑑。点刻彫版と呼ばれる高度な銅版画の技術と、丹念な手彩色によって表現された花々は、芸術性を備えた植物図鑑として高く評価されている。また本シリーズのなかには、現在絶滅してしまったバラの古代種や原種も描かれており、学術的な観点からも重要視されている。

 本展では、フランス革命後の激動の時代を背景に、ルドゥーテの作品と人生をたどるもの。『バラ図譜』の全作品とともに、ルドゥーテが描いた貴重な肉筆画2点も合わせて紹介する。