EXHIBITIONS

シャルロット・デュマ展「ベゾアール(結石)」

シャルロット・デュマ 左は《Bezoar》(2018)、右は《Yorishiro 依代》より(2020) © Charlotte Dumas Courtesy of the artist and andriesse eyck gallery, Amsterdam

シャルロット・デュマ Wave 2017 © Charlotte Dumas Courtesy of the artist and andriesse eyck gallery, Amsterdam

シャルロット・デュマ Near the coastline 2015 © Charlotte Dumas Courtesy of the artist and andriesse eyck gallery, Amsterdam

シャルロット・デュマ Grace 2012 © Charlotte Dumas Courtesy of the artist and andriesse eyck gallery, Amsterdam

シャルロット・デュマ 《Yorishiro 依代》より 2020 © Charlotte Dumas Courtesy of the artist and andriesse eyck gallery, Amsterdam

 アムステルダムを拠点に活動する写真家・アーティスト、シャルロット・デュマの個展が銀座メゾンエルメス フォーラムで開催される。

 デュマは1977年オランダ・フラールディンゲン生まれ。2000年にヘリット・リートフェルト・アカデミーを卒業後、ライクスアカデミーで学んだ。現在、アムステルダムを拠点に活動し、現代社会における動物と人の関係性をテーマに、20年にわたって騎馬隊の馬や救助犬など、人間と密接な関係を築いている動物たちを被写体としたポートレイト作品を発表。人間生活のために特定の状況に置かれ、共生する動物たちを被写体とした作品を通して、私たちが動物や他者の価値をどのように定義づけてきたのかを問いかける。

 2014年からは、日本全国に現存する在来馬を撮影するプロジェクトを開始。北海道、長野、宮崎、与那国島など8ヶ所を巡って撮影した作品は、個展「Stay」(ギャラリー916、東京、2016年)で発表され、同名の写真集として出版された。近年では、写真に加えて映像作品も手がけている。

 本展は、デュマの近年の映像作品3点を中心に、動物と人間の関わり合いを再考するもの。動物の胃や腸のなかに形成される凝固物で、医学的な現象からできた石でありながら、古い伝承ではお守りや神秘的な想像と結びつくこともあるという「ベゾアール(結石)」、埴輪、木馬などの品々は、動物と私たちの共存のひとつの証でもあり、それらをとらえたデュマの写真作品とともに、生の儚さを比喩的に伝えてくれるだろう。

 また本展は、デュマが数年来協働を続ける、テキスタイルデザイナーのキッタユウコによる藍染めの布を用いたインスタレーションを展開し、会場は建築家の小林恵吾と植村遥が構成を担当。デュマの紡ぐ物語、自然や生命について、複数の視点から見つめることができる。