EXHIBITIONS

U-39KUMAMOTO

宮本華子

Was ich dir immer schon sagen wollte, aber nur dir nicht sagen kann.(私は、あなたにだけ言えない。)

2020.08.01 - 08.30

展示風景

 熊本ゆかりの若手作家の作品を紹介する「U-39KUMAMOTO」の今回は、ベルリン在住のアーティスト・宮本華子の作品を展示する。

 宮本は1987年熊本県に生まれ。2010年女子美術大学芸術学部絵画学科洋画専攻卒業、12年同大学大学院美術研究科修士課程美術専攻洋画研究領域修了。16年よりドイツ・ベルリン在住。20年には、これまで主題としてきた父との思い出や関係性に、日本とドイツという物理的な距離がもたらした新たな視点を交えた映像作品《白が消えていく。-Mein Tagebuch》が、「VOCA展2020」(上野の森美術館)で佳作賞を受賞した。

 本展の開催にあたって昨年の春につなぎ美術館を訪ねた宮本。日本を離れドイツで暮らしを始めてから4年を迎えようとし、実父に対して幼少期から抱いてきた違和感をめぐる自身の複雑な感情と改めて向き合う覚悟ができたとしながら、その複雑な感情を解きほぐすかのように制作を続けてきた一連の作品の最終章を、故郷の熊本、そして海がある津奈木町の美術館で迎えることができないかと打ち明けた。

 本展では、実父に対して違和感を抱く理由を、自身の家族に初めて告げる新作を発表。海がある町の美術館で、宮本が長いあいだ向き合ってきた主題の最終章を迎える。

「この作品は私にとって特別な作品です。これをつくり終えたら、制作活動を終わらせることができると思っていました。完成し、ドイツで発表をして、自分の『いつまで』という問いの20パーセントが取り除かれたことに気づきました。私はまだ残りの80パーセントとお別れするまで、つくらなければいけません。終わりが見えたことは、大きな救いです。この作品は故郷の熊本、そして海のそばにあるこの美術館で発表しなければいけない作品でした。それを理解して貰えて、実現させていただけたことを心から感謝しています(宮本華子)」。