EXHIBITIONS

コレクション展Ⅱ

アートの宝石箱、珠玉の作品たちに出会う夏

2020.07.01 - 08.23

吉田博 『瀬戸内海集』のうち《帆船 午前》 大正15年

柳瀬正夢 底の復報 大正11年

岸田劉生 千家元麿像 大正2年

中川八郎 風景(投網) 明治後期

 愛媛県美術館は、郷土を代表する柳瀬正夢や中川八郎をはじめ、コレクションから日本洋画の優品を一堂に紹介する「アートの宝石箱、珠玉の作品たちに出会う夏」展を開催している。

 松山市出身の柳瀬正夢(1900〜45)は、同館が重点的に顕彰・作品収集を進めている作家のひとり。洋画のみならず、グラフィックデザイン、風刺漫画、舞台美術、写真など、圧倒的な質量の仕事は、近代日本の前衛美術の流れにおいて高い評価を得ている。

 その生誕120年の節目となる今年、柳瀬の作品を一挙公開。早熟の天才としてデビューした10代半ばから、45歳で空襲に遭い生涯を閉じるまで、濃密に時代を駆け抜けた柳瀬の魅力を紹介する。

 本展ではこのほか、新たにコレクションに加わった洋画家・吉田博(1876〜1950)による木版画《瀬戸内海集》を披露するとともに、吉田の盟友であった内子町出身の中川八郎(1877〜1922)の作品を同時展示し、ふたりの絆をたどる。

 これらに加えて、絵画表現における「写実」を解説するコーナーを設置。岸田劉生から超写実絵画まで、時代や人によって見解・定義が異なる「写実」の描かれ方に注目する。