EXHIBITIONS
有馬かおる「FAUST IN MARIENBAD by The quest for Art」
1990年代より独自のドローイング作品や、アートスペースの運営などで注目を集めてきたアーティスト・有馬かおるが、日本では5年ぶりとなる個展を開催する。
有馬は1969年愛知県生まれ。90年名古屋造形芸術短期大学プロダクトデザインコース卒業。ドローイングを中心に、ペインティング、彫刻などを制作。これまでの主な個展に、「RESTONS UNIS: YOU'LL NEVER WALK ALONE」(Emmanuel Perrotin、パリ、Edouard Montassutを介して、2020)、「FAUST IN MARIENBAD」(Edouard Montassut、パリ、2019)、「To See」(Queer Thoughts、ニューヨーク、2018)。過去に参加した展覧会に、「Reborn-Art Festival」(2019/2017)、「夏への扉 - マイクロポップの時代」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2007)などがある。
今回の展覧会を構成するのは、有馬の代名詞ともなっている一連の「古典的な」ペインティング、ドローイング、彫刻の作品群。注記すべきなのは、有馬がかなり遅い時期に、アーティストとしての仕事を積み重ねたあとに絵画や彫刻への取り組みを開始した作家であるということだ。
新聞紙を支持体とするマンガ的かつ日記的なドローイングによって、さらにはアートスペース・Art Drug Centerとしての活動によって、有馬はすでに90年代中頃に国内外で注目を集めていた。現在も有馬は、震災後の石巻において文化的な発展の一翼を担うArt Drug Centerのスーパーバイザーとしてほかのアーティストたちの活動を引っ張りながら、移り気なドローイングの制作も継続しているが、近年においてその作品を愛する人々の主な焦点は、ペインティングによる肖像画へ、そして古典的な問題系を継承しつつもより純粋な触覚性を帯びている彫刻へと向かっている。有馬は、パーソナルな要素を強く孕んだ独自の実践をすでに完成させていた状態から、特定のイデオロギ ーから自由なかたちで、ペインティングや彫刻という媒体にアプローチしたことになる。
その帰結として、有馬の作品は、形態とエネルギーの両面において、より若い世代のアーティストたちの作品との親近性を帯びることになった。そしてまた有馬は、自意識に妨げられることや恥ずかしがることもなく、真っ白な目で絵画の描き方や彫刻のつくり方を身につけてきた。ヨーゼフ・ボイス的な見解を転回させるように、身をもって「どんなアーティストでもペインターになれる」ことを示しながら。
有馬は1969年愛知県生まれ。90年名古屋造形芸術短期大学プロダクトデザインコース卒業。ドローイングを中心に、ペインティング、彫刻などを制作。これまでの主な個展に、「RESTONS UNIS: YOU'LL NEVER WALK ALONE」(Emmanuel Perrotin、パリ、Edouard Montassutを介して、2020)、「FAUST IN MARIENBAD」(Edouard Montassut、パリ、2019)、「To See」(Queer Thoughts、ニューヨーク、2018)。過去に参加した展覧会に、「Reborn-Art Festival」(2019/2017)、「夏への扉 - マイクロポップの時代」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2007)などがある。
今回の展覧会を構成するのは、有馬の代名詞ともなっている一連の「古典的な」ペインティング、ドローイング、彫刻の作品群。注記すべきなのは、有馬がかなり遅い時期に、アーティストとしての仕事を積み重ねたあとに絵画や彫刻への取り組みを開始した作家であるということだ。
新聞紙を支持体とするマンガ的かつ日記的なドローイングによって、さらにはアートスペース・Art Drug Centerとしての活動によって、有馬はすでに90年代中頃に国内外で注目を集めていた。現在も有馬は、震災後の石巻において文化的な発展の一翼を担うArt Drug Centerのスーパーバイザーとしてほかのアーティストたちの活動を引っ張りながら、移り気なドローイングの制作も継続しているが、近年においてその作品を愛する人々の主な焦点は、ペインティングによる肖像画へ、そして古典的な問題系を継承しつつもより純粋な触覚性を帯びている彫刻へと向かっている。有馬は、パーソナルな要素を強く孕んだ独自の実践をすでに完成させていた状態から、特定のイデオロギ ーから自由なかたちで、ペインティングや彫刻という媒体にアプローチしたことになる。
その帰結として、有馬の作品は、形態とエネルギーの両面において、より若い世代のアーティストたちの作品との親近性を帯びることになった。そしてまた有馬は、自意識に妨げられることや恥ずかしがることもなく、真っ白な目で絵画の描き方や彫刻のつくり方を身につけてきた。ヨーゼフ・ボイス的な見解を転回させるように、身をもって「どんなアーティストでもペインターになれる」ことを示しながら。