EXHIBITIONS

森田晶子「フェルディナンの山犬」

2020.06.20 - 07.11

森田晶子 The Order #4 2020 © Shoko Morita

森田晶子 The Order #2 2020 © Shoko Morita

森田晶子 ホワイトアウト 2020 © Shoko Morita

 顔料や支持体など、独自のアプローチで絵画作品を制作するアーティスト・森田晶子の個展が開催されている。

 森田は1977年富山県生まれ。武蔵野美術大学造形学部映像科を中退後、99年に愛知県立瀬戸窯業高校陶芸専攻科を修了し、2005年にセツモードセミナーを卒業。映像、陶芸、絵画を学んだ森田は、円型やハニカム型などの支持体に陶器の肌のような質感を持った独特な下地をつくり、その下地を引っ掻くことで描かれたモチーフに着彩をする独特の技法で、幻想的な物語を描き出す。

 森田は作品のモチーフについてはコンセプトを立てないいっぽうで、技術的なアプローチに関してはコンセプトを設けており、「線と絵肌を優先させるもの」「色面を優先させるもの」「工芸と美術の間を探るもの」の3つに手法を分割することを試みている。

 本展では、「線と絵肌を優先させるもの」として、着彩に頼ることなく絵肌と線との調和で作品を成立させる「ホワイトアウト」「しにふぃあん と しにふぃえ」「The Order」のシリーズなどを展示。「色面を優先させるもの」として抽象的な画面にステンシルのような技法でモチーフを配した作品を、そして「工芸と美術の間を探るもの」では、桃山・江戸期の日本美術やウィリアム・モリスの業績に見出すことのできるアートとクラフトの融合を参考に、森田が絵画の制作とともに続けている陶芸や刺繍が持つ要素を作品の地に取り入れた「Flow Somewhere」シリーズを発表する。