EXHIBITIONS

稲垣元則「Atlas」

2020.06.20 - 07.18

稲垣元則 新作映像作品イメージ 2020

 自然や身体をモチーフに、写真や映像、ドローイングなどのメディアを用いて作品を制作してきたアーティストの稲垣元則。その2年ぶりとなる個展がギャラリーノマルで開催される。

 稲垣は1971年京都府生まれ、94年大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業。90年代初頭よりB4サイズのコピー用紙へのドローイングを開始。以降継続的に制作を続け、その数は現在で1万点以上におよぶ。また2000年代に入ってからは、写真や映像による作品づくり積極的に取り組み、ほかと比較し得ない独特な作風で高い評価を得ている。

 主に木立や海の波間といった自然の風景を題材とした写真や映像作品では、画中に写っていない(写っていないように見える)ものや間合いをとらえ、またドローイングでは未知の世界を絵筆の先から手繰り寄せるように、長年にわって描き続けている。

「Atlas」と題された本展は、刻々と変化する時間の流れを茫洋と広がるアトラス(地図)になぞらえ、映像とドローイングによるインスタレーションで可変的に構成する実験的な展覧会。新作の映像とドローイング作品を中心に、過去に制作された作品や映像の断片も等価に並置し、一方向的時間軸ではない、渾然一体とした稲垣の作品世界を展覧する。また新たな試みとして、会期中に作家本人が毎日会場で作品の制作や展示の入れ替えを流動的に行う。

 なお会場の様子を撮影した映像をショートムービーとして、ウェブサイトで毎日公開予定。稲垣の行為の軌跡そのものが本展のひとつの要素となる。展覧会最終日には長年、稲垣とのコラボレーションを続けている.es(ドットエス)による音楽ライブも開催予定。