EXHIBITIONS

国立新美術館開館10周年 チェコ文化年事業

ミュシャ展

2017.03.08 - 06.05

アルフォンス・ミュシャ スラヴ叙事詩「原故郷のスラヴ民族」 1912 プラハ市立美術館蔵 © Prague City Gallery

アルフォンス・ミュシャ 四つの花「ユリ」 1897 堺市蔵

アルフォンス・ミュシャ スラヴ叙事詩「スラヴ式典礼の導入」 1912 プラハ市立美術館蔵 © Prague City Gallery

アルフォンス・ミュシャ スラヴ叙事詩「スラヴ民族の賛歌」 1926 プラハ市立美術館蔵 © Prague City Gallery

アルフォンス・ミュシャ スラヴ叙事詩「東ローマ皇帝として戴冠するセルビア皇帝ステファン・ドゥシャン」 1923 プラハ市立美術館蔵 © Prague City Gallery

 アール・ヌーヴォーを代表する作家の一人、アルフォンス・ミュシャ。ミュシャは1895年、34歳の時に女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけることになり、これをきっかけに一夜にして有名画家となった。

 ミュシャが生きた19世紀末から20世紀は、技術の発展によってヨーロッパ全体が明るい未来を展望すると同時に、小国が独立を求める闘いの時代でもあった。ミュシャは、華やかなポスターなどを手がける一方、オーストリア=ハンガリー帝国の一部であった故郷チェコの不遇と、自身のルーツであるスラヴ民族のアイデンティティーを主題に作品を描いていた。その集大成となるのが、晩年の約16年間を費やした渾身の連作《スラヴ叙事詩》だ。縦6×横8mにもおよぶ巨大なキャンバス20点が映し出すのは、古代から近代に至るスラヴ民族の苦難と栄光。写実的で繊細かつ劇的な描写は、それまでのミュシャの作品とは一線を画す。

 《スラヴ叙事詩》全20点がチェコ国外で世界初公開され、本作までの足跡を約80点の作品を通して辿る本展。ミュシャの真髄に迫る貴重な機会となるだろう。