EXHIBITIONS

鶴岡政男展

2020.05.18 - 07.07

展示風景

鶴岡政男 港街 1953

鶴岡政男 眠れる人 1954

 戦争体験や友の死、自らの生活苦のなかで人そのものを見つめ、描き続けた画家・鶴岡政男の個展が開催される。

 鶴岡は1907年群馬県高崎市生まれ。22年、太平洋画会研究所に入り、靉光、井上長三郎らと交友した。30年には公募団体・NOVA美術協会の結成に参加(同会は37年に解散)。20代の半ばから生計を立てるため様々な職業に従事するいっぽう、左翼活動にも参加した。

 37年に中国へ出征。40年の兵役解除後、経済的な理由で創作活動から疎遠になっていた鶴岡は、井上長三郎の呼びかけに応じ、43年に靉光、麻生三郎、松本竣介らと新人画会を結成。シュルレアリスム的、あるいは重く暗いテーマを扱ったリアリズムの作品を発表し続けた。

 46年に靉光が、48年に松本竣介が相次いで世を去った後も、鶴岡は新人画会のメンバーらとともに自由美術家協会に所属し、戦後の美術界で活躍。敗戦後の日本の社会像を描き出した《重い手》(1949)を第2回サンパウロ・ビエンナーレ(1953)に出品したほか、50〜60年代にかけては、数々の美術展での出品や個展も多数開催し、精力的に活動した。

 本展では、鶴岡が50年代に制作した《港街》や《眠れる人》などの油彩作品を展示。パステルとペン画も加えた作品22点が並ぶ。