佐藤允「Øth（Zeroth）」

　人と世界を理解するすべとして、絵画を描くアーティスト・佐藤允（さとう・あたる）の個展が開催される。

　佐藤は1986年千葉県生まれ、2009年京都造形大学芸術学部情報デザイン学科先端アートコースを卒業。現在、東京を拠点に活動している。これまで、ギャラリー小柳（東京、2011・2015年）で個展を開催したほか、ニューヨークやブリュッセルでも作品を発表。主な展覧会に、「Inside」（パレ・ド・トーキョー、パリ、2014）、「INTERPRETATIONS, TOKYO ‐ 17世紀絵画が誘う現代の表現」（原美術館、東京、2019）、堂島リバービエンナーレ2019などがある。

　作品とは自分が自分のために、生きた人が人のためにつくり受け取るものだと考える佐藤は、「アートのためのアート」や新しさ、意味を求めることはしない。わからないことはわからないまま考え続けていくことを原動力に、恐怖や恋愛といったパーソナルな問いから生まれた佐藤の作品は、過剰とも言えるような緻密な鉛筆の線描写によるイメージが猟奇的にも見えるいっぽう、どこかで私たちの日常とつながっているように感じられる。

　本展では、2019年に参加したグループ展「INTERPRETATIONS, TOKYO ‐ 17世紀絵画が誘う現代の表現」と堂島リバービエンナーレ2019で発表したボックス型の新シリーズを展示。インターネットや雑誌、映画などの身の回りのイメージを描写したシリーズ、セルフ・ポートレイト、ペーパーコラージュなど、多様なフォーマットの作品で構成される。