EXHIBITIONS

柿沼瑞輝「一点の一瞬」

2020.04.04 - 04.26

柿沼瑞輝 触覚 2019

 抽象的かつ現代的で、物語性を有する絵画を描く柿沼瑞輝の個展が開催される。

 柿沼は1989年東京都生まれ。2011年東北芸術工科大学洋画コース卒業。現在は埼玉県を拠点に活動。感情を前面に出し、叫びにも似た筆勢によって構成する絵画を制作している。

 柿沼の作品は、ロジカルに美術史を積み重ねてきた⻄洋の美術にはない、自然から試論を得た詩魂とも言える筆遣いが特徴。画面には、ものとして何かを示唆するモチーフが一切なく、視覚により理解する手立ては色彩と筆致、絵具の物質感のみ。完成の一歩手前で止めたかのような余白や縦横のグリッド、ムーブするように踊る筆跡には、すべてに必然性と何らかのメッセージがあるかのように感じられる。

 柿沼は、2016年の個展「横溢」後、マスキングテープやラッカーなどを使用し、筆ではない線を導入して画面をデザイン的に構成する作風に変化させてきた。その延⻑線上にある本展では、ひとつの達成が見て取れる超大作《触覚》を含む新作を発表する。

※Yoshimi Artsは新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、4月8日より当面のあいだ、アポイントメント制にて開廊。