猪瀬直哉「Romantic Depression」

　終末的な風景をロマンチックに描き、自然と人間の関係性を探求するアーティスト・猪瀬直哉の個展が開催される。

　猪瀬は1988年神奈川県生まれ。2012年に東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業し、文化庁新進芸術家海外研修員として渡英。17年にロンドン芸術大学チェルシーカレッジオブアートMA Fine Artを修了し、現在はロンドンを拠点に活動している。日本では、「20th DOMANI・明日展」（国立新美術館、東京、2018）などに出展。昨年はロンドンのDaiwa Anglo-Japanese Foundationにて個展を開催。作品は、高橋コレクションやベネトンコレクションに収蔵されている。

　ロマン派や、マーク・ロスコやバーネット・ニューマンなどの抽象絵画に影響を受けた猪瀬。ダイナミックな風景画を通して人が自然といかに向き合っているのかを問い、またポストモダニズムにおける絵画の役割について考察している。

　本展では、猪瀬がリサーチのためにアイスランドに赴き、その壮大な景色をもとに描いた新作を発表。猪瀬の代表的な「モノリスシリーズ」やペンギンの作品に加え、近年力を入れているテレビのカラーバーをモチーフにしたシリーズを紹介する。

 「ロマン主義風景絵画は常にその鬱性質的なものとリンクしてきた。作家の心身的な空虚性とそこで見出す希望が作品にロマンスをもたらすのであろうか。多くの現代人がこのような空虚感に見覚えがあるのではないかと思う。その空虚性を私のフィルターを通しビジュアル化したその作品群を見ていただきたい（猪瀬直哉）」

※3月14日 11:00〜19:00にて、ロンドンから来日中の作家が在廊。