EXHIBITIONS

特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」

2020.03.17 - 04.12, 2020.04.14 - 05.10

法隆寺金堂壁画(模本) 第10号壁 薬師浄土図 鈴木空如摸 大正11(1922) 大仙市蔵 ※展示期間=前期(3月13日~4月12日)

国宝 観音菩薩立像(百済観音) 飛鳥時代・7世紀 法隆寺蔵 写真=飛鳥園

国宝 法隆寺金堂と五重塔 写真=飛鳥園

※東京国立博物館は政府の緊急事態宣言を受け、当面のあいだ臨時休館。これに伴い、本展の開催を中止。

 世界遺産・法隆寺。その西院伽藍(さいいんがらん)の中心をなし、世界最古の木造建築である金堂には、約1300年前の飛鳥時代に描かれた壁画《法隆寺金堂壁画》がかつて存在した。

《法隆寺金堂壁画》とは、中国・唐時代の様式を踏襲した本格的な古代仏教絵画の遺品。本尊釈迦三尊像を真ん中に、仏教世界が彫刻と絵画で表現され、とくに仏菩薩浄土(ぶつぼさつじょうど)を大画面に描き出した壁画12面からは、インド伝来の作風も垣間見ることができる。

『日本書紀』によると、創建当初の西院伽藍は、670(天智9)年に落雷による火災で焼失し、その直後に再建されたのが現在の伽藍と見られることから、《法隆寺金堂壁画》もそれ以降の近い時期に制作されたと考えられている。この貴重な壁画を次世代へ継承する取り組みは明治時代から行われ、昭和初期から戦後にかけては、原寸大の写真撮影や画家による模写、合成樹脂による壁画の強化など様々な記録・保存方法が試行された。

 しかし、1949(昭和24)年1月26日、金堂の解体修理が進められるなか、火災により壁画の大半が焼損。焼捐した壁画は保存処置が施され、焼けた金堂部材とともにいまも法隆寺に保管され、通常は非公開となっている。

 2020年は、法隆寺金堂の火災をきっかけとして、1950年に文化財保護法が成立してから70年となる節目の年。本展では、法隆寺金堂の美の世界を、《法隆寺金堂壁画》の優れた模写や、焼損後に再現された現在の壁画、そして日本古代彫刻の最高傑作のひとつである国宝・百済観音など金堂ゆかりの諸仏で紹介するとともに、文化財保護の大切さを伝える。