EXHIBITIONS

中村太一展

ガレリア フィナルテ
2020.02.11 - 02.29

展示風景より

展示風景より

 中村太一は1982年神奈川県生まれのペインター。自身の体験した労働や、身の回りの自然環境の変化などに着想を得て、告発や寓意を伴う荒廃した風景を中心に描いてきた。2008年に東京造形大学を卒業後、現在は出身地の神奈川で制作を行う。

 工業が盛んな平塚市に生まれ育ち、幼少の頃から工場からの排水により歪な姿になった魚や、河原の乱雑な茂みに親しんで過ごした中村。現在拠点としているシェアアトリエも、リサイクル工場の林立する地帯に居を構えており、人の営みにある負の側面につねに触れ、魅せられていると言う。

 煙をあげる工場、廃タイヤやスクラップ、タバコを吸う労働者。中村の作品に度々登場する不穏な気配をまとった人やもの、ときには動物はデフォルメされ、ときどき画面に書き込まれる単語、そして中村の閃きのある色彩の作用によって、ルポルタージュ的な性質を白昼夢的な空気が包み込んでいる。

 本展は、中村が広大な自然風土に触れた、オーストラリアでの滞在制作後初となる個展。大画面の油彩、ドローイング、写真にペイントした作品に加え、瓦礫を持ち込んだインスタレーションも展開され、中村の提示する世界観を感じることができる。なお本展協力はHARMAS GALLERY。