EXHIBITIONS

project N 73

中村太一

中村太一 Untitled 2018 Photo by AIKAWA Keita

中村太一 Factory at 4 pm 2018 Photo by AIKAWA Keita

中村太一 Untitled(over painting #2) 2018 Photo by AIKAWA Keita

 若手ペインターを取り上げる展覧会シリーズ「project N」の73回では、一見童画のようでありながら、辛辣な批判精神を隠し持つ作品を描く中村太一を紹介する。

 中村は1982年神奈川県生まれ、2008年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業。キャンバスに油彩、あるいは紙に水彩で描く具象作品、雑誌の切り抜きの上にアクリル絵具や油絵具で自由にストロークを加えたミクストメディアの作品など様々な制作を行う。いずれの作品でもシンボルやメタファーが用いられ、一貫して、自然の摂理を逸脱することで進歩してきた人間に対する複雑な思いをメッセージに込めている。

 中村の作品で特に注目したいのは、ミクストメディアによる作品群。社会問題を扱った広告キャンペーンで知られるイタリア企業ベネトン社のプレゼンテーション・スライド、熱帯雨林の保護を目指す活動にも協力するチェコのゲームスタジオが制作したアドベンチャーゲームの一場面などを引用し、直視すべき人間と自然との関係を訴えかけている。