今井麗「MARCH」

　焼き立てのトーストやみずみずしい果物など、身近にあるものをモチーフに描く画家・今井麗の個展が「OIL by 美術手帖」ギャラリーで開催される。

　今井は1982年神奈川県生まれ。国内では関東を中心に、各地での個展やグループ展で作品を発表。また雑誌の挿絵も手がけ、2016年に出版された植本一子の著書『かなわない』（タバブックス）のバタートーストの装画でも話題となった。近年では、17年にnidi gallery（東京）、NICHE GALLERY （東京）、代官山蔦屋書店（東京）、The Steak House DOSKOI（東京）、18年に恵文社一乗寺店 ギャラリーアンフェール（京都）、19年にXYZ collectiveほかで個展を開催。現在、東京オペラシティ アートギャラリーにて「project N 78 今井麗」展（～3月22日）が開催中。

　画家の父のもと、子供の頃から旺盛に絵を描いてきたという今井の現在のアトリエは、自宅のリビングの一角。そこで、絵具の乾かぬうちに完成される「早描き」によって、今井の静物画は日々生み出されている。トーストやパイナップルなどの食べ物、コアラやクマのぬいぐるみ、キャラクターの人形たち。今井は、日常のなかでこぼれ落ちていってしまう、かけがえのない時間をすくいとるように、身近なモチーフをキャンバスに描いている。

　本展では、リズムを刻みながら行進し、自由や希望をたずさえて前に進もうとする人形たちを描いた表題作《MARCH》（2020）のほか、今井がこれまでに描いてきたコアラやトーストの作品を発表。あわせて、本展オリジナルのポスターやグッズも販売される。

※新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止による渋谷パルコ営業時間の変更に伴い、3月3日～3月15日まで営業時間を11:00〜20:00に短縮（通常 10:00～21:00）。