EXHIBITIONS

近代が誇る女流画家とそれに連なる美の系譜

上村松園・松篁・淳之 三代展

東京富士美術館
2020.02.29 - 04.12

上村松園 鼓の音 1940 松伯美術館蔵

上村松園 楊貴妃 1922 松伯美術館蔵

上村松園 青眉 1934 吉野石膏株式会社蔵

上村松園 夕暮 1941 京都府立鴨沂高等学校蔵 展示期間=4月1日〜4月12日

上村松園 晩秋 1943 大阪市立美術館蔵 展示期間=3月24日〜4月12日

「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」。画家の上村松園が随筆『青眉抄』に寄せたこの言葉が示すように、松園は時代に流されない敬虔な眼差しで理想の女性の美を追求した。その凛とした気高さと温もりを備えた女性像は、いまも人々の心を魅了してやまない。

 本展では、松伯美術館所蔵の作品を中心に、「第1部:上村松園」「第2部:上村松篁」「第3部:上村淳之」の3部構成で、近代随一の優れた画家と謳われた松園と息子の松篁、そして孫の淳之の3代にわたる絵画芸術の系譜をたどる。
 
 なかでも「第1部」では、上村松園の生涯を大きく「建設期(=明治期)」「模索期(=大正期)」「大成期(=昭和期)」の3つの章に分け、各時代のエピソードや松園自身の言葉、遺品などを紹介。明治・大正・昭和と時代が劇的に変化を遂げるなかで、女流画家としての矜持を持って生き抜いた松園の作品に込められた思いに迫る。

 見どころのひとつとなるのは、松園が晩年に手がけた数少ない大作《夕暮》(1941)。第4回新文展のために1週間徹夜をして描いたという本作は、『青眉抄』の一場面を回想しており、実母の仲子が障子の隙間から針を外光にかざして糸を通そうとする健気な姿が、写実的に表現されている。

 また本展の会期中には、上村淳之を迎えたスペシャル・ギャラリートークなどのイベントも開催予定。

※新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、3月2日〜3月16日まで臨時休館。詳細は公式ウェブサイトまで。