EXHIBITIONS

もうひとつの歌川派?!

国芳・芳年・年英・英朋・朋世

~浮世絵から挿絵へ……歌川派を継承した誇り高き絵師たち

2020.01.07 - 03.29

鰭崎英朋・画 白百合 『婦人画報』大正5年6月号口絵 弥生美術館蔵

右田年英・画 旅順口の海戦に我富士艦砲術長山中少佐奮戦之図 明治37年 弥生美術館蔵

神保朋世・画 邦枝完二・作 振袖役者 『時事新報』 昭和10年 弥生美術館蔵

「歌川派」は歌川豊春から始まり、豊国から国芳、そして芳年が名を連ねる浮世絵界最大の派閥。年方、清方、深水へと続く華やかな系譜がよく知られているが、月岡芳年の門下である右田年英とこれに師事した英朋、朋世という優れた歌川派の系譜が存在している。

 年英と英朋、朋世は、明治・大正・昭和の時代にそれぞれ活躍。年英は画家として群を抜く力量で、浮世絵の衰退期から挿絵興隆期の狭間を生き抜き、その門下生の筆頭として英朋は「鏑木清方と双璧」と称される挿絵を手がけた。そして歌川派の系譜を引いた「最後の浮世絵師」朋世は、戦前戦後と長く挿絵画家として活躍したいっぽうで、日本画制作にも積極的に取り組んだ。

 本展では、普段目にする機会の少ない、年英、英朋、朋世の貴重な作品を多数展示。歌川派を継承し、挿絵の世界で大きく羽ばたきながらも、時の流れに埋もれた3名の絵師に光を当てる。