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早川貴泰「デジタルアニミズム」

早川貴泰 参考作品

 早川貴泰は、2002年に山形大学教育学部中学校教員養成課程美術専攻を卒業、07年に情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現研究科メディア表現専攻を修了。手描きアニメーションとデジタル技術を組み合わせた独自の方法論を用いて、有機的な動きの映像作品を制作し、高精細環境でのアニメーション表現の可能性を探求している。

 また早川は、高解像度映像の研究者として多数の実績を重ねており、08年に4K手描きアニメーションを、10年には8K手描きアニメーションを世界で初めて発表。なかでも作曲家・アーティストの安野太郎とともに制作した4K手描きアニメーション作品《塵芥集》は、世界最大のCGカンファレンス「SIGGRAPH 2009」でも採択された。現在、16K手描きアニメーションの制作プロジェクトを準備中だという。

 早川のアニメーションは特定のストーリーを語らず、コンピュータを使って色やかたちの組み合わせた多層的な表現が特徴。ラスコーの洞窟壁画の時代に、人間がすでに絵画的表現を超て動的表現を見ていたという自身の仮説を制作の根底に、「animism(精霊崇拝)」「anima(生命・魂)」「animation(命・魂を吹き込む)」の3語にインスピレーションされたアニメーションは、増殖する生命体を思わせる。

 本展では、神話や宗教の源流となる先土器時代の人間の思考に着目し、神話や宗教の源流となった神々をモチーフとした早川のアニメーション作品を紹介する。