EXHIBITIONS

農民美術・児童自由画100年展

茶摘人形 大正〜昭和初期 東御市教育委員会

こっぱ人形(かもしか、雷鳥)大正〜昭和初期 上田市立美術館、個人蔵

こっぱ人形(出雲人形) 大正〜昭和初期 個人蔵

楕円型平木鉢(水鳥) 大正〜昭和初期 上田市立美術館蔵

雑誌『農民美術』 大正〜昭和初期 上田市立美術館蔵

平野小学校自由画スクラップ帳 昭和3〜11年 個人蔵

 1919(大正8)年に、版画家・洋画家の山本鼎が主導となって信州・上田で始まった「農民美術運動」と「児童自由画教育運動」。「農民美術運動」で山本は、農民の手からつくられる美術作品が国を豊かにすると提唱し、「児童自由画教育運動」では、子供たちが自由に描き、表現する美術教育を推進した。

 農民の手工芸品として始まった「農民美術」の生産は、大正から昭和初期にかけて一時全国に拡散。そして現在は、上田地域の伝統的工芸品として定着し、白馬・大町など県内各地にも影響を及ぼした。いっぽう、正確な模写を評価する大正期の学校教育を打破し、子供たちの創造性に着目した「自由画」の理念も、今日の図工美術教育の基礎として受け継がれている。

 本展は、大正時代に展開されてから100年を迎えた「農民美術運動」と「児童自由画教育運動」が果たした意義を見つめ直し、今後の可能性を探るもの。両運動のもとで生み出された作品を展示するとともに、会期中には農民美術のこれからを議題としたパネルディスカッションや講演会を開催する。