EXHIBITIONS

モダンデザインが結ぶ暮らしの夢

イサム・ノグチ  あかり33S(BB3)スタンド 1952頃 飛騨・世界生活文化センター蔵

剣持勇 柏戸椅子T-7165 1961 松戸市教育委員会蔵

アントニン・レーモンド 新スタジオ 1963 撮影=斎藤さだむ

 1930〜60年代にかけて世界で芽吹いたモダンデザイン。近代産業と科学によって大量生産が可能となり、装飾美に代わって合理的な機能美を持つデザインが誕生した。

 日本では、28年に初の国立デザイン指導機関として仙台に商工省工芸指導所が設立。33年には来日中のドイツ人建築家ブルーノ・タウトが顧問に招かれて剣持勇らの指導にあたった。そして同じ頃、建築家のアントニン・レーモンドとインテリア・デザイナーのノエミ・レーモンド夫妻が、高崎の芸術文化を支援する実業家・井上房一郎と出会った。

 翌年、井上はタウトを高崎に迎え、銀座に出店した家具工芸店「ミラテス」でタウトのデザインによる工芸品を販売。国際的に普及するモダンデザインを日本の暮らしや風土になじませようと模索した日本の工芸関係者と、世界的な建築家やデザイナーの交流によって、やがて機能主義に収まらない卓越した作品が生み出されていった。

 本展では、モダンデザインに託して新しい上質な暮らしを夢見た建築家とデザイナーたちの仕事を振り返るもの。剣持の籐丸椅子やノグチなどが日本の暮らしに合わせて手がけた名作椅子約35点が集うほか、デザインの基本的な考え方を日本人に教えたタウトの工芸品、また家具や建築の図面、模型、写真など多彩な作品・資料約160点が展示される。

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、2月29日~3月22日まで臨時休館。これに伴い、本展の開催を中止。