柳宗理デザイン 美との対話

　戦後日本を代表するプロダクトデザイナーとして知られる柳宗理。民藝運動の指導者・柳宗悦を父に持つ柳は、終戦後に本格的にデザインの仕事を始め、柳工業デザイン研究会を設立。羽を広げた蝶のように見える《バタフライスツール》から東京オリンピックのトーチや札幌オリンピックの聖火台まで、生涯にわたって多様なデザインを手がけた。

　また、1958年に島根県安来市出身の陶芸家・河井寬次郎の窯で《黒土瓶》を作陶するなど、山陰地方の民藝とも深い関わりを持った柳。鳥取県では、民藝運動を指導した吉田璋也と交流し、牛ノ戸でも陶器を制作した。2000年代には鳥取の因州・中井窯と島根の出西窯にて、柳ディレクションの陶器のシリーズを製造した。

　幅広いデザイン分野で活躍した柳の仕事の全貌に迫る本展では、代表作《バタフライスツール》をはじめとする家具、食器、キッチンツール、グラフィックデザインなど600点以上を展示するほか、東京オリンピックの聖火トーチ、実現にいたらなかった建築物などを模型や写真パネルで紹介。さらに山陰地方との関わりや、日本民藝館の館長も務めた柳の蒐集品にも注目する。