EXHIBITIONS

渡部敏哉「Somewhere not Here」

2019.11.02 - 12.07

© Toshiya Watanabe

 渡部敏哉は1966年福島県生まれの写真家。渡部が福島第一原子力発電所事故の影響で警戒区域に指定された故郷・福島県浪江町を記録した一連の作品は、フランスの新聞『ル・モンド』や、台湾の雑誌『THE BIG ISSUE』など、海外メディアでも数多く紹介され大きな反響を呼んだ。2016年に「STEIDL BOOK AWARD JAPAN」、19年には「Hariban Award」審査員特別賞(マルテイン・ヴァン・ピーターソン、アンヌマリー・ゼトフ選)を受賞した。

 本展では、海や都市、草木などの日常風景を撮影した「Somewhere not Here」シリーズの新作約20点を発表する。

 2017年のPOETIC SCAPEでの個展で展示された同シリーズは、渡部が自らの意識の底にあるイメージを写真で掬い上げる試みとして、現実感が消えた「ここではない、どこか別の場所」を暗示したもの。今回はこれまでの「現実→非現実」という、ある方向性を持った作品に、見るほど被写体の意味が解体されていくような作品が加わる。

「たんにひとつの感情で終わらないようなイメージ・・・写真に写っているモチーフからはちょっと距離がある別な何か(渡部敏哉)」