EXHIBITIONS

山種美術館 広尾開館10周年記念特別展

東山魁夷の青・奥田元宋の赤

―色で読み解く日本画―

2019.11.02 - 12.22

奥田元宋 奥入瀬(秋) 1983(昭和58)年 山種美術館蔵

東山魁夷  緑潤う 1976(昭和51)年 山種美術館蔵

千住博 松風荘襖絵習作 2006(平成18)年 山種美術館蔵

竹内栖鳳 鴨雛 1937(昭和12)頃 山種美術館蔵

奥村土牛  舞妓 1954(昭和29)年 山種美術館蔵

「東山魁夷の青」「奥田元宋の赤」と言われるように、画家の世界観を表現する上で重要な役割を担う色。本展では、近代・現代の日本画から印象的に色が表された作品を取り上げ、画家と色の密接な関わりをひも解く。

 元来、日本美術の伝統的な絵具は、群青は藍銅鉱(らんどうこう)、白は胡粉などを例に、鉱石や貝殻をはじめとする天然素材からつくられた。近代以降、多彩な合成顔料の流入や新たな人造の岩絵具が開発されたことなどによって色の種類が増え、日本画家たちに刺激と表現の多様化をもたらした。

 画家たちのあいだでは新たに開発・輸入された合成絵具や西洋の色彩学などを取り入れて制作を試みる者がいるいっぽうで、天然岩絵具を中心とした伝統的な彩色表現が日本画の神髄とみなす者もおり、それぞれが日本画ならではの色の可能性を追求しながら、個性豊かな作品を生み出していった。

 本展では、《年暮る》で雪降る京都を青色で静謐に表した東山魁夷、《奥入瀬(秋)》で紅葉した奥入瀬渓流を赤色で鮮麗に描いた奥田元宋をはじめ、竹内栖鳳、奥村土牛など、色を効果的に取り入れた日本画家の作品約50点展示。画家が自らの芸術を創造するため、いかに色を制作に活かしたのか、それぞれの言葉や社会的背景などを踏まえながら色を通じて見えてくる画家たちの軌跡を紹介する。