EXHIBITIONS

深瀬昌久「家族」刊行記念 特別展

© Masahisa Fukase Archives

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深瀬昌久『家族』表紙

 1991年に刊行された深瀬昌久の写真集『家族』(Inter Press Corporation)がイギリスの出版社・MACKより新装版として刊行。これを記念し、「家族」のヴィンテージプリントによる特別展示がタカ・イシイギャラリー 東京 ビューイングルームにて3日間限定で開催される。

 深瀬は34年北海道生まれ。写真館を経営する家系で幼少期から写真に親しみ、日本大学芸術学部写真学科に進学。卒業後は日本デザインセンターや河出書房新社などに勤め、68年に独立した。74年、日本の写真家を世界で初めて紹介した展覧会「New Japanese Photography」(ニューヨーク近代美術館)に出展。評価が高まるなか、92年に不慮の事故で脳障害を負い、20年間の闘病の末、2012年に逝去。17年、アルル国際写真祭で没後初となる回顧展「l'incurable égoïste」が開催された。

 写真集『家族』は、深瀬が生前に手がけた最後の1冊。家族の記念写真を定点で撮影し、一家族の歴史の断片を記録したいっぽう、腰巻きひとつを身につけた半裸姿の妻を写り込ませ、家族写真に相応しくない要素を混入させることで、伝統的な家族写真の形式を皮肉った。同作品は、89年に深瀬写真館が廃業を迎えた日を最後に完結した。

 新装版では、深瀬写真館で撮影された家族の肖像写真を撮影年順に並べ、巻末には原版に収録された深瀬による自伝と、深瀬昌久アーカイヴスの創設者兼ディレクターを務めるトモ・コスガの作品解説を収録。本展の会期初日にコスガが来日し、同書のプレゼンテーションを行う。