EXHIBITIONS

奈良原一高「星の記憶」

奈良原一高 星の記憶 1972 © Ikko Narahara / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

奈良原一高 星の記憶 1972 © Ikko Narahara / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

 写真家・奈良原一高がアメリカ横断旅行で撮影したシリーズ「星の記憶」による個展が開催される。

 奈良原は1931年福岡県生まれ。56年に『人間の土地』でデビュー。60年代にヨーロッパ、70年代にはアメリカと場所を移しながら、様々な場で繰り広げられる文明のあらゆる側面を独自の巨視的な視点でとらえ、詩情豊かな「パーソナル・ドキュメント」の表現手法で日本写真史における新時代を切り拓いてきた。

『星の記憶』は、アメリカ大陸に宇宙の真空を思わせる底知れぬ「水のない海」を見た奈良原が、神秘的な自然の光景とそのなかに生きる人々のあり様、そして人為的に成立した国家としてのアメリカ像を、丹念な観察と考察をもって印象的にとらえた作品。アメリカ滞在の成果は、帰国後に『星の記憶』(1987)を始め、『消滅した時間』(1975)、『生きる歓び』(1972)、『ブロードウェイ』(1991)といった写真集にまとめられたほか、アメリカのギャラリーでも個展を開催。「世界の32人の偉大な写真家」として雑誌に紹介されるなど、海外メディアでも取り上げられ、一連の発表は奈良原の国際的な評価を一層高める契機となった。

 本展では、1970年から4年間のアメリカ滞在において奈良原が敢行した、アメリカ横断旅行時の作品を収録したシリーズ「星の記憶」より約9点を展示。あわせて、タカ・イシイギャラリー 東京のビューイング・ルームにて、奈良原のポートフォリオの展示を同時開催する。