EXHIBITIONS

藤田嗣治 -Nude-

2019.09.26 - 10.11, 2019.12.12 - 12.25

藤田嗣治 長い髪のユキ 1923

藤田嗣治 横たわる裸婦(ユキ) 1924

藤田嗣治 横たわる裸婦(マドレーヌ) 1932

藤田嗣治 バラ 1922

「狂乱の時代」と言われた1920年代のパリ。芸術の都の観衆に絶賛された、藤田嗣治の描く「ヌード」の本質に迫る展覧会が東京、大阪の2会場で開催される。

 1913年、26歳でフランスに渡った藤田。パブロ・ピカソのアトリエでキュビスムを目にして早くから新時代の芸術を意識し、多国籍の画家たちが集うモンパルナスにアトリエを構え、パブロ・ピカソやジャン・コクトーといった新時代を切り開く芸術家たちとの交流を通し、自己の画風を模索する。親友であったモディリアーニの死以降、藤田はその遺志を継ぐように裸婦を描き始め、21年の第14回サロン・ドートンヌへ横たわる裸婦像を出品。後に「素晴らしき乳白色」と称えられる独特の白色下地に、鈴木春信や喜多川歌麿らの浮世絵から着想を得た、墨による繊細な輪郭線で描いた藤田の裸婦像は、パリの観衆から絶賛された。以降サロンへの出品、画廊での展覧会を通してその名声を高めていった。

 本展では、藤田が1920〜30年代前半に描いた裸婦像を中心に、同時代に描かれた静物画やデッサンを展示。その美しく雪のように白い肌から「ユキ」と呼んだ、3番目の妻リュシー・バドゥがモデルの《長い髪のユキ》(1923)、30年代を通して藤田のミューズであったマドレーヌ・ルクーのしなやかな肢体が目を引く《横たわる裸婦(マドレーヌ)》(1932)など、全盛期の作品が見どころとなる。また、藤田の静物画の代表作《バラ》(1922)、《マッチ箱のある静物》(1923)も並ぶ。

 本展は、藤田が新奇な質感とものの見え方を提示した時代の作品に集中し、「やわらかい、押せばへこむような皮膚を通して画のもっとも重大な条件である『質』をかくことにした」と語った、藤田の画業を見つめ直す。