EXHIBITIONS

柔らかな版

タイラーグラフィックス・アーカイブコレクション展Vol.32

展覧会ポスター

 CCGA所蔵のタイラーグラフィックス・アーカイブコレクションから、スクリーンプリントの幅広い魅力を紹介する展覧会が開催される。

 スクリーンプリント(シルクスクリーン)は、柔らかい布の織り目を通してインクを転写する版画技法のひとつ。古来より各地で行われてきた繊維の型染めに起源を持つとも言われるスクリーンプリントは、19〜20世紀にかけてヨーロッパやアメリカで発展した、版画・印刷の技術としては新しいものだ。ほかの版種より比較的手軽で、紙以外にも様々な素材に刷ることができるこの技法は、最初に商業印刷や工業の分野で活用された。そして写真製版技術が確立した1960年代以降は、美術表現のための版画技法としても使われた。
 
 とくに、広告やマンガのイメージを用いたポップ・アートの作家たちは、写真製版により既成の画像を転写することが容易な点に注目。また、ハード・エッジとも呼ばれた幾何学的抽象絵画の作家たちは、インクを厚く盛ることによりフラットで物質感の強い色面を得られる点を生かし、それぞれがこの技法を取り入れた。

 本展では、ニューヨークのタイラーグラフィックス版画工房を舞台に、アメリカ現代美術を代表する作家たちが生み出したスクリーンプリント作品を展示。また、商業印刷の分野におけるスクリーンプリントの使用例として、日本のグラフィックデザイナーたちが同じ技法を用いて制作したポスター作品の小展示を同時開催する。