EXHIBITIONS

マリア・ファーラ「Too late to turn back now」

マリア・ファーラ Fruit Salad 2019 Courtesy of the artist and mother’s tankstation Dublin | London

マリア・ファーラ Fruit Salad(部分) 2019 Courtesy of the artist and mother’s tankstation Dublin | London

マリア・ファーラ Fruit Salad(部分) 2019 Courtesy of the artist and mother’s tankstation Dublin | London

 イギリスを拠点に活動するアーティスト、マリア・ファーラのアジア初となる個展が開催される。

 ファーラは1988年フィリピン生まれ。イギリス人の父親とフィリピン人の母親を持ち、幼少期を山口県下関市で過ごした。15歳のときにロンドンに移住。2016年、ロンドン大学スレード美術学校修士課程を修了後、ヨーロッパでの個展やグループ展を通じてその名が知られるようになり、18年のサーチ・ギャラリーでの出展で一躍注目を集めるようになった。

 ファーラが描くのは、日常で何気なく目にした場面や記憶の断片から構築される新たな情景。通りのパン屋を覗く女性、窓越しの庭、鏡台に散らばる化粧品といった一瞬を具体的に切り取りながら、作品全体はとらえどころのない浮遊感と広がりを感じさせる。

 人物の太い輪郭線、書道的な筆の払い、かすれ・にじみ、それらとコントラストをなす繊細な細部描写。また、画面のクローズアップや余白の扱い、筆法に日本的な趣を指摘されてきたファーラ。作家自身も、「技法、色、主題において『東』における伝統(書道、マンガ)に『西』由来の新たな道筋(生リネン、大判の油彩画)をかけ合わせる」と語っており、日本で培った視点と感性に自覚的であることがうかがえる。

 本展では、ファーラのこれまでのスタイルをさらに更新させた最新作を発表。支持体の存在感がなくなるまで、重厚な原色で画面を埋め尽くことによって、儚げであった絵画世界に緊張感をもたらす。