歌川豊国

　歌川派を浮世絵の最大流派に育て上げた「中興の祖」にして、東洲斎写楽や勝川春英らと役者絵の分野で競い合った初代歌川豊国。豊国の透明感のある爽やかな画風は、「あまりに真を描かんとて」と当時評された東洲斎写楽を退け、役者絵の世界を席巻した。

　また美人画においても、人気絵師である喜多川歌麿に挑むと、歌麿描く艷やかな女性とは異なる、健康的で柔らかな雰囲気の女性を描いて人気となった。そして読本や合巻といった版本挿絵の世界では、葛飾北斎とも互角に渡り合い、精力的に作品を生み出した。

　本展では、2019年に豊国の生誕250年を迎えることを記念し、役者絵から、美人画、版本挿絵、戯画まで幅広い作品を展示。これまでまとめて紹介される機会の少なかった、豊国の画業の全容とその魅力に迫る。