EXHIBITIONS

青木野枝「霧と山」展

撮影=砺波周平 Courtesy of ANOMALY

青木野枝 雲谷/長崎 2019 「青木野枝 ふりそそぐものたち」展(長崎県美術館)での展示風景

青木野枝 《曇天1》《曇天2》 2019 「青木野枝 ふりそそぐものたち」展(長崎県美術館)での展示風景

 鉄を円や細片に溶断し、それらを場に合わせて溶接して作品に仕上げる彫刻家・青木野枝。鉄をまるで重力から開放させたような、軽やかで有機的に拡張させた青木の作品は、自然や生命の循環を連想させ、鉄片に囲まれた空間を作品の一部のように感じさせる。

 本展では、鉄による新作を中心に構成。鉄と半透明の青いガラスを用いた高さ7メートルの彫刻作品や、鉄と石けんからなる作品、主に石膏を素材とした量感のある彫刻を配した作品など、約20点のオブジェによる4つのインスタレーションが展開される。

 霧島の自然を象徴する「霧」と「山」をテーマにすべてが連鎖する展示空間は、民俗学や文化人類学に関心を持ち、実際に見て感じることを大切にしてきた青木が希求する「普遍の美」の世界を体感できるだろう。