寺本愛「島々をなぞる」

　様々な時代と地域の服飾が持つ機能性と、文化背景の表象としての装飾性を接続させた「タイムレスな服飾」をつくり出し、それらを纏った人物を絵画を描くアーティストの寺本愛。いまなお残り続ける固有の地域・服飾文化の取材を通じて得たイメージにフィクションを織り交ぜて昇華させることで、人々の生活に通底する普遍性を表している。

　大学で美術と服飾を学び服飾への興味から制作活動を開始した寺本だが、近年の関心は衣服を纏う人間の営みそのものへと移りつつあるという。

　本展では、沖縄で開催された「やんばるアートフェスティバル2018-2019」の出品作品に、新作を加えて展示。沖縄での滞在制作などを通じて寺本が見出した「島」に暮らす人々の姿を描いた新作では、これまでの作品ではあまり見られない背景の描写や、淡い色彩での着彩などが用いられている。