EXHIBITIONS

光る知覚- Touching the Light

2017.04.29 - 06.04

渡辺望 OBSERVER 2016

鈴木泰人 色は、人 2016

 光なくして、人はものをみることができない。それゆえ、人は光を創り出し、闇を照らすことで文明を発展させてきた。私たちの身の周りには、太陽などの自然光から、ろうそくやLEDなどの人工光まで、さまざまな種類の光が存在している。このような視覚を生み出す光は、美術においてもきわめて重要な要素として扱われてきたが、20世紀になるとダン・フレイヴィンやジェームズ・タレル、オラファー・エリアソンなどの作品にみられるように、作品の素材としても重要な役割を担うようになった。

 昨今、白熱電球などへの規制に対する関心が高まっている。20世紀末に発光効率が良い新しい光源、LEDが実用化されてから、環境問題への意識の高まりとともに、慣れ親しんだ白熱電球や蛍光灯の生産は世界的に縮小をはじめた。日本では政府がメーカーに対して自主的な生産中止を要請したことで、現在では多くの大手メーカーが家庭用白熱電球の製造を終了している。2011年の福島原発事故後は、より緊急の課題となった省エネ対策のために一層強い働きかけがなされた。

 エネルギーやそれに伴う環境問題は世界的課題のひとつ。しかし、照明のエッセンスは消費電力だけではない。ひとつの面だけをみて照明のもつ多様な役割を奪うことは、照明による表現の可能性をも喪失させる危険性を孕んでいる。本展では、鈴木泰人、星田大輔、村上郁、渡辺望の4名のアーティストが、それぞれ異なるアプローチを通して照明の光を提示。現代における人々と照明との関わりを見直すと同時に、美術作品としての照明のありかたについて、作品とともにトークやパフォーマンスイベントを交えて検証する。