EXHIBITIONS

テリー・ウィンタース「Fourteen Etchings」

テリー・ウィンタース

 1949年生まれのテリー・ウィンタースはニューヨークのPratt Institute卒業後ニューヨークを拠点として制作を続けている作家。

 初期の作品はミニマリズムのモノクロ表現の影響が感じられるが、次第に主題となる生物学的、天文学的なモチーフが有機的なかたちとなって表現されている。Fourteen Etchings は、1989年にULAEより刊行された14点の銅版画からなる版画集の名作。それぞれ14点からなる作品は、19世紀のドイツの解剖学書から引用した人体の骨格のX線写真とダイレクトグラビュールをベースとした銅版画を組み合わせてつくられている。

 X線写真は、頭部から始まりページが進むごとに胸部、腕部、腹部、腰部と身体の下部に進み最後に足部となる。銅版画のそれぞれのイメージは、必ずしもX線写真と直接的に関わるものではないが、抽象的なイメージと具体的なX線写真を同一画面上で視覚することによって、ある種の有機的な感覚が不思議と呼び起こされる。

 またこの機会に、2005年の来日の時に制作した、和紙に刷られたリトグラフ、Compositeも展示される。