EXHIBITIONS
田名網敬一
貘の札
田名網敬一は、1936年東京に生まれ、武蔵野美術大学を卒業。1960年代より、グラフィックデザイナーとして、映像作家として、そしてアーティストとして、メディアやジャンルに捕われず、むしろその境界を積極的に横断してきた。
田名網は近年、自身の記憶や夢を原風景に、自身の80年以上もの歴史を記したいわば「曼荼羅図」の制作に取り組んでいる。一見すると奇怪でありながらもポップな妖怪画のように見える田名網の近作だが、そこに描かれているのは田名網の実体験に基づく様々な記憶だ。アメリカンコミックを引用したアメリカの爆撃機、その中で光を放つ擬人化した爆弾などは、田名網が幼少期に実際に見た戦争の記憶に深く関係をしている。新作の大作「彼岸の空間と此岸の空間」に登場する「鶏」のイメージは、田名網が1975年に制作した映像作品「Crayon Angel」の中にも既に登場しているように、機銃掃射のために低空へと急降下をする戦闘機のメタファー。同様に、骸骨姿の様々なモンスターたちは、戦争で傷ついた人々であり、恐れを知らぬ私たち自身を暗示する。
こうした創作行為は、しばしば田名網の夢の中で起こる。田名網は1978年より夢日記を記しており、その後記録された夢は様々な作品に登場。例えば、動物的な生命を宿したかのように描かれている松は、田名網が44歳の時に結核を患い死の境を彷徨った時に見た幻覚を記録した絵日記に由来する。
今回の新作では、こうした記憶や夢と並行して、キリコやウォーホル、リキテンシュタイン、若冲、エッシャーといった田名網が敬愛するアーティストたちの作品も随所に登場。
本展では、横3mの大作の新作2点を含む新作ペインティング約10点のほか、新作のアニメーション作品「笑う蜘蛛」を展示上映する。また本展覧会に合わせて、田名網の近作イメージを収録した2冊のアートブックも出版される。
田名網は近年、自身の記憶や夢を原風景に、自身の80年以上もの歴史を記したいわば「曼荼羅図」の制作に取り組んでいる。一見すると奇怪でありながらもポップな妖怪画のように見える田名網の近作だが、そこに描かれているのは田名網の実体験に基づく様々な記憶だ。アメリカンコミックを引用したアメリカの爆撃機、その中で光を放つ擬人化した爆弾などは、田名網が幼少期に実際に見た戦争の記憶に深く関係をしている。新作の大作「彼岸の空間と此岸の空間」に登場する「鶏」のイメージは、田名網が1975年に制作した映像作品「Crayon Angel」の中にも既に登場しているように、機銃掃射のために低空へと急降下をする戦闘機のメタファー。同様に、骸骨姿の様々なモンスターたちは、戦争で傷ついた人々であり、恐れを知らぬ私たち自身を暗示する。
こうした創作行為は、しばしば田名網の夢の中で起こる。田名網は1978年より夢日記を記しており、その後記録された夢は様々な作品に登場。例えば、動物的な生命を宿したかのように描かれている松は、田名網が44歳の時に結核を患い死の境を彷徨った時に見た幻覚を記録した絵日記に由来する。
今回の新作では、こうした記憶や夢と並行して、キリコやウォーホル、リキテンシュタイン、若冲、エッシャーといった田名網が敬愛するアーティストたちの作品も随所に登場。
本展では、横3mの大作の新作2点を含む新作ペインティング約10点のほか、新作のアニメーション作品「笑う蜘蛛」を展示上映する。また本展覧会に合わせて、田名網の近作イメージを収録した2冊のアートブックも出版される。