EXHIBITIONS

志村信裕「Land」

志村信裕 Video still from ‘Nostalgia, Amnesia’ 2019 © the Artist Courtesy of Yuka Tsuruno Gallery

 志村信裕は1982年東京生まれ、武蔵野美術大学大学院映像コース修了。現在、千葉県を拠点に活動。2016年から2年間、文化庁新進芸術家海外研修制度により、INALCO (Institut National des Langues et Civilisations Orientales) 客員研究員としてフランス・パリに滞在。プロジェクションを使った初期作品に始まり、光によって引き起こされる記憶や場所性の変容に着目して作品制作を行う。

 初期作品ではスニーカーやボタンなど身の周りの事物の実写映像を様々な場所や素材をスクリーンとして投影し、その空間の歴史や記憶を呼び起こすサイトスペシフィックな作品を多く手がけた。近年は、フィルムやドキュメンタリーの手法を取り入れながら、時代の変遷によって影響を受け続ける生態史や、人々の生活に関わりのある家畜産業に、人類学的・民俗学的な関心を持って目を向けている。
 
 ユカ・ツルノ・ギャラリーでの約3年ぶりの個展となる本展では、同時期に開催される「21st DOMANI・明日展」(国立新美術館、1月23日〜3月3日)で公開される映像作品《Nostalgia, Amnesia》にあわせ、近代から現代における羊毛産業の変遷をリサーチした新作プロジェクトを発表。日本の離島を舞台に和牛が辿った歴史を題材にした前作《見島牛》(2015)に続き、新作の《Land》は、機械化が進む社会の中で忘れ去られていく家畜と人間の関係を社会学的な視点でアプローチしながら、家畜としての羊や羊毛産業の歴史を探究したフィールドワークに基づいて構成される。