EXHIBITIONS

太田の美術vol.2

生誕100年 飯塚小玕齋展―絵画から竹工芸の道へ―

2019.02.02 - 04.07

飯塚小玕齋 白錆花籃 銘 大海 1987 太田市蔵

 竹という素材を尊重し、竹ならではの造形美を追求した竹工芸家・飯塚小玕齋(いいづか・しょうかんさい)。1982年には、重要無形文化財「竹工芸」保持者(人間国宝)に認定され、「用の美」の理念のもと、作品を磨き上げた。

 飯塚は81年、赤松の生い繁る金山の豊かな自然環境に惹かれ、東京から群馬県太田市に拠点を移し、以降亡くなるまで同地に工房を構えた。父・琅玕斎(ろうかんさい)から学んだ技術を現代的な感性で発展させた作品は、今日の竹工芸の基盤を形成したとも言われており、格調高く、洗練された美しさを有している。

 本展では小玕齋の生誕100年を記念し、画家を目指した若かりし頃のスケッチから東京美術学校時代の卒業制作、竹工芸に絵画的な表現を取り入れていた時期の作品を資料も交えて展観。また、「用の美」へと至る晩年までの仕事を、竹工芸作品を中心に紹介する。当初は自身の意に反しながらも絵画から竹工芸の道へと邁進し、挑むようにして素材と向き合いながら、「工芸とは何か」「美とは何か」を真摯に問い続けた小玕齋の歩みを振り返る。