EXHIBITIONS

小林健太

自動車昆虫論/美とはなにか

2017.06.03 - 08.12

小林健太 IAM Blue Star 2017 ©︎ Kenta Cobayashi Coutesy of G/P gallery, Tokyo

小林健太 Hello 1, #9square #smudge ©︎ Kenta Cobayashi Coutesy of G/P gallery, Tokyo

小林健太 Hello 4, #9square #smudge 2017 ©︎ Kenta Cobayashi Coutesy of G/P gallery, Tokyo

小林健太 Hello 5, #9square #smudge 2017 ©︎ Kenta Cobayashi Coutesy of G/P gallery, Tokyo

小林健太 IAM 002 2017 ©︎ Kenta Cobayashi Coutesy of G/P gallery, Tokyo

小林健太 IAM 004 2017 ©︎ Kenta Cobayashi Coutesy of G/P gallery, Tokyo

 小林健太は昨年の初個展「#photo」(G/P gallery、東京)を開催以来、フォンダツィオーネ・プラダでのグループ展「GIVE ME YESTERDAY」(ミラノ、2016-17年)、国際フォトフェスティバル「FORMAT」(ダービー、イギリス、2017年)に参加し評価を高めてきた。小林がカメラでとらえるのは、活動拠点である東京の街並みや、自身や親しい友人の姿など、ごくありふれた日常。それらを撮影後、Photoshopで加工編集し、写真またはビデオ作品として発表している。ほかにも同世代のアーティストやクリエイターらと等身大のZINEを展示するプロジェクトや、ライブパフォーマンス、VRをつかったインスタレーションに取り組むなど、小林の存在自体がひとつのメディアとして機能するような幅広い活動で大きな注目を浴びてきた。

「自動車昆虫」は作家による造語。図像の生成起源をたどるリサーチ中に、画像データの基盤であるグリッド構造に興味を覚えた小林は、その分割システムが上下構造すなわちヒエラルキーと均一化を生むもの、そして対象を区切って認識することで対象そのものへの解像度を下げるというパラドックスが文明にもたらす影響について、彼なりの考察を重ねるようになった。昆虫が群をなして知性を獲得し、交通網のようなネットワークを構築して活動していくように、この社会で営む人間たちを「自動車昆虫」に例え、グリッドの境界線の間に存在する割り切れないものや、未分化な状態に宿るもう一つの秩序・美学へと意識を向ける。

 本展では、Photoshopの指先ツールで画像データを編集加工した「#smudge」シリーズの写真プリントとビデオ作品をはじめ、床に焼いた正方形のタイルを並べたインスタレーションなど身体に直接的な経験を促す意欲的な新作を発表する。