EXHIBITIONS

高山明「マクドナルド放送大学」

2018.11.23 - 2019.02.02

高山明 マクドナルド放送大学 2017 フランクフルト 撮影=蓮沼昌宏

高山明 マクドナルド放送大学 2017 フランクフルト 撮影=蓮沼昌宏

高山明 マクドナルド放送大学 2017 フランクフルト 撮影=蓮沼昌宏

 一般的な演劇の手法を離れ、現実の都市や社会の中で演劇の概念の拡張する活動を追求してきた演劇ディレクター/アーティストの高山明。MISA SHIN GALLERYでの初個展では、ギャラリー空間をマクドナルドの店舗に見立て、アートプロジェクト「マクドナルド放送大学」を行う。

 本プロジェクトは、町中のマクドナルドを大学に変え、何らかの理由で故国を離れることになった移民や難民が「教授」となり、入店した「学生」は商品とともに「教授」のレクチャーを注文して聴講できるというもの。「教授」はマクドナルド店内のどこかでピンマイクを通して講義を朗読し、「学生」らはカウンターで受け取ったポータブルラジオなどの受信デバイスを通して、リアルタイムで講義を聴講する。

 2017年にドイツ、フランクフルト市内に点在するマクドナルド7店舗で初演がなされ、フランクフルトでは、アフガニスタン、シリア、パキスタン、ガーナ、イランなどを離れた難民が教授陣を占めた。講義内容は哲学、音楽、建築、生物学、自然科学、ジャーナリズムなどの全15科目が用意された。

 高山は、グローバル資本主義の象徴であり、非健康的なファーストフードというイメージが持たれるマクドナルドを舞台にすることで、アートが社会問題を上から批判することの欺瞞を暴きながら、本プロジェクトが現実世界から「学ぶ」ことを促す転換装置となりうることを提案している。

 今回、新しく教授に加わるのは、高山が企画した「新・東京修学旅行 中国残留孤児編」にガイドとして参加する中国帰国者たち。会期初日の11月23日には、教授らによる講義をライブで聴くことができる。