EXHIBITIONS

人間国宝 中島宏氏寄贈

古武雄

ふるさと大地の記憶

鉄絵緑彩松樹文大皿(佐賀県重要文化財) 佐賀県立九州陶磁文化館 中島宏コレクション

緑褐釉櫛目草文大皿 佐賀県立九州陶磁文化館 中島宏コレクション

白泥鉄絵緑彩松樹鶴文甕 佐賀県立九州陶磁文化館 中島宏コレクション

鉄絵緑彩松竹梅文大壺 佐賀県立九州陶磁文化館 中島宏コレクション

鉄絵緑彩山水文大皿 佐賀県立九州陶磁文化館 中島宏コレクション

 佐賀・長崎にまたがる肥前地方では、陶工たちが適した土を求め大地を掘り、様々な陶磁器を生み出してきた。青磁の重要無形文化財保持者(人間国宝)であった故・中島宏は、自分自身の作陶に精進するとともに、生まれ育った武雄地域の陶器収集に熱意と愛情を持って取り組み、その収集品を「古武雄(こだけお)」と称して、展覧会などで発表してきた。

 10代の頃、古い窯跡で緑色の美しい陶片を見つけ、感銘を受けたことが自分自身の作陶の道筋になったという中島。役目を終え、使われることのない草木に覆われた古い窯跡を探査し、かつてその地で陶工たちが作陶していた姿を想い描くことは、制作に向かう心の支柱であったとも語っている。「中島ブルー」と呼ばれる唯一無二の青磁がつくり出された背景には、ふるさとの大地が生み出した陶磁器の歴史があった。

 本展では、多くの古武雄が佐賀県立九州陶磁文化館に寄贈されたことを記念し、その収集品の中から選りすぐった逸品約200点を展示。佐賀の土と炎が生み出した力強い造形の世界を紹介する。