EXHIBITIONS

六本木開館10周年記念展 国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》修理後初公開

神の宝の玉手箱

2017.05.31 - 07.17

浮線綾螺鈿蒔絵手箱 一合 鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館 国宝 [全期間展示]

浮線綾螺鈿蒔絵手箱 一合 鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館 国宝 [全期間展示]

浮線綾螺鈿蒔絵手箱 蓋表 一合 鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館 国宝  [全期間展示]

浮線綾螺鈿蒔絵手箱 蓋裏 一合 鎌倉時代 13世紀 サントリー美術館 国宝 [展示期間 : 7.8-7.17]

衵 萌黄地小葵浮線綾丸文二重織(熊野速玉大社古神宝類のうち) 一領 明徳元年(1390)頃 和歌山・熊野速玉大社 国宝 [展示期間 : 5.31-6.26]

彩絵檜扇 一握 平安時代 12世紀 島根・佐太神社 写真提供=島根県立古代出雲歴史博物館 重要文化財 [展示期間 : 6.21-7.17]

 今も昔も、きらびやかで美しい箱は、人々を惹きつけてきた。内容品が大切であればあるほど、また、所有する者の身分が貴いほど、箱は美しく仕立てられ、“玉なる箱”として愛でられてきた。「手箱」はその代表格で、もともと貴人の手回り品を入れるためのものが、蒔絵や螺鈿といった当時最高の装飾技法によって飾られ、神々のお使いになる具として奉納されるようにもなった。特に中世の手箱は、漆芸技法の結晶美ともいえるほど技術の粋が凝縮され、「神宝」として、あるいは一部の特権階級の所有として伝わるにふさわしいものばかりだといえる。

 本展は、このたび約50年ぶりに修理を行った国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱(ふせんりょうらでんまきえてばこ)》(サントリー美術館蔵)を修理後初公開することを基点に、人々が生活の中で用いてきた手箱の姿を織り交ぜつつ、特別に仕立てられた手箱についてその魅力を特集。特に、名だたる神社に伝わった手箱を、表着(うわぎ)、沓(くつ)、檜扇(ひおうぎ)などの服飾から、鏡、鏡台、硯箱などの調度(ちょうど)にわたる様々な神宝類と合わせて展示する。

 また、このたびの修理等を通して知られた、名品手箱の手間を惜しまない複雑な技法の工程と高度な技を紹介するとともに、近現代の名工が手がけたそれら手箱の模造を通して、輝きに満ちた制作当初の姿を紹介する。

 金や螺鈿きらめく玉なる手箱―“玉手箱”。本展を通して各時代で人々を魅了し、時に神様に捧げられた技と美を堪能できる。