EXHIBITIONS

白磁 Joseon White Porcelains

2018.09.11 - 11.23

白磁壺 18世紀前半

 民族独自の美意識や造形感覚を映し出す朝鮮陶磁。そのなかでも白磁の器は、朝鮮王朝の統治理念であった儒教の精神に適う「清貧の美」と深い精神性を宿している。

 日本民藝館の初代館長・柳宗悦が創始した民藝運動の歩みを振り返ると、すべての活動が朝鮮陶磁器との出会いから始まっている。民藝美論の礎となる「用の美」や「無心の美」への目覚めも、朝鮮陶磁器の出会いが契機となっている。

 また柳の関心は器物にのみでなく、独自の文化を育んできた朝鮮の人々にも向けられた。当時日本政府が推し進めた武断的な植民地政策に異議を申し立て、朝鮮文化の擁護と保護にも尽力。朝鮮工芸の展覧会や文筆活動を行い、民族固有の工芸文化の素晴らしさを国内外に伝えた。そして現在、同館は主に1392〜1910年の朝鮮時代につくれられた工芸品約1600点を収蔵し、日本国内の美術館としては最大級の質と量を誇っている。

 本展では無地の白磁をはじめ、白磁の素地に藍色に発色する酸化コバルト(呉須)で文様を描いた青花(染付)や、褐色に発色する鉄絵具で加飾した鉄砂(てっしゃ)、赤色に発色する銅顔料を用いた辰砂(しんしゃ)など、白磁の優品約150点を展示。柳が愛蔵し、民族の心を象徴する独自の美意識が現れる朝鮮白磁の美の世界を紹介する。