石本藤雄「実のかたち」

　1970年から現在に至るまで、ヘルシンキを拠点に数々の作品を発表してきた陶芸家の石本藤雄。フィンランドのライフスタイルブランド「マリメッコ」においてテキスタイルデザイナーとしての才能を開花させ、当時手がけたファブリックはいまなお、多くの人々に親しまれ続けている。

　89年以降は活動の軸足を陶芸へと移し、現在はフィンランドを代表する陶器メーカー「アラビア」のアート・デパートメント部門に構えるアトリエにて、陶の表現を追求。広大な自然へ向けたまなざしから導き出される作品は、独自の感性で色彩豊かにつくり出される。

　太宰府天満宮 宝物殿で開催される本展では、石本による新作を発表。太宰府天満宮の象徴である梅の実、ゴロンとした存在感が忘れられず初めてモチーフとして取り組んだ冬瓜など、果実のかたちに魅せられた石本が作陶した大皿や立体作品が並ぶ。