レイヤーズ・オブ・ネイチャー その線を超えて

　20世紀を代表するアメリカの抽象画家のひとり、サム・フランシスと息子のフランシス真悟、ベルリンの作家、クリスチャン・アヴァによる展覧会が開催される。

　 日米を拠点として国際的に活躍するフランシス真悟は、土地の色や光を取り込みながら作品を制作。地平線のような広がるように描かれた線は絵画の外へと向かい、色彩の層は人々のなかに眠る記憶の層と重なるような深みを持つ。

　日本の美術館では初の発表となるアヴァは、独自の技法でものの本質を発見し、平面にとらえている。偶発的に交わる絵具の層を、現実と想像の境界を曖昧にする水滴の描写とほとばしる色彩によって覆い、多層的な空間を絵画上に表現している。

　そしてサム・フランシスは、目には見えないものに色彩を与え、白い土地に新たな生態系を描き出すかのような作品をつくり出した。

　本展では、セゾン現代美術館が所蔵するサム・フランシスの作品と、フランシス真悟とアヴァの新作を展示。鑑賞者と対象物の境界を超え、身体を包み込むような3作家の作品は、私たち自身も自然を形成する層の一つであることを体感させるだろう。