EXHIBITIONS

芸術の旅人 堂本印象の世界展

~エスキスからタブローへ 情熱の真髄~

金谷美術館
2018.04.29 - 07.01, 2018.07.05 - 09.02

堂本印象 ロゴスの不滅(部分) 昭和43(1968) 後期展示

堂本印象 坂 大正13(1924) 前期展示

堂本印象 十字架 昭和29(1954) 前期展示

堂本印象 観音 昭和38(1963) 後期展示

堂本印象 回帰 昭和38(1963) 前期展示

堂本印象 婦人公論表紙(下絵)11月号 昭和9(1934) 前期展示

 日本画家でありながら、風景画、風俗画、宗教画など多様な技法を使い分け、晩年は抽象画へと表現の幅を広げた堂本印象の画業を紹介する特別展が開催される。

 1891年京都府に生まれた印象は西陣織の図案描きの後、日本画家を志して展覧会に出品。初期の作品《坂》では、大正の雰囲気を日本画でみずみずしく描いている。その後、29歳という若さで帝展の特選を受賞。仏教をテーマとした大作《維摩》や大徳寺龍翔寺の襖絵など話題作を次々と発表し、画壇に確固たる地位を築く。

 戦後は虚無感を描き出した《メトロ》をはじめ、社会の世相を反映させた作品で画壇に旋風を起こし、時代に挑戦する気概を抱いて制作を行った。1955年以降は抽象画に移行し《回帰》や《はるかなる海》など日本画の枠を超えた作品で、日本のみならず世界に大きな影響を与えた。宗教画も多く手がけ、《観音と文殊》《十字架》からは、仏教やキリスト教への造詣の深さを見て取ることができる。また、61年に文化勲章を受章するなど、日本画壇の中枢で後進の育成にも熱心だった。

 印象の作品が関東に多数集まる、めったにない機会となる本展では、堂本印象美術館の収蔵品から初期作や抽象画、宗教画、彫刻作品など多彩な創作を示す74点を展示。日本画には欠かせない小下絵や下描き、写生を本画のそばに並べることによって、印象の原点と、模索や格闘の軌跡をたどる。